# 後飾り段に残っていたもの
2026/06/29
# 後飾り段に残っていたもの
以前、ご葬儀のお打ち合わせをさせていただいたご家族がおられました。
中心となってお話しされていたご主人は、とても勢いのある方で、ご自身の考えを率直にお話しされる姿が印象的でした。
お話を進める中で、
「葬儀だけでお願いします。」
とおっしゃり、四十九日の法要も、お寺様へのご依頼も考えておられませんでした。
理由をお聞きすると、
「後飾り段があると悲しくなるから。」
と、静かに話してくださいました。
故人様を大切に思っていたからこそ、その悲しみが大きく、後飾り段を見るのもつらかったのだと思います。
その後、ご家族で話し合われ、
「子どもたちの気持ちもあるから。」
と、四十九日の法要を営まれることになりました。
葬儀の日にお会いしたご主人は、最初にお会いした時の勢いはなく、深い悲しみの中におられるご様子でした。
お葬式は一つの節目ではありますが、悲しみが終わる日ではありません。
むしろ、本当の寂しさは、いつもの日常が戻ってきた時に少しずつ押し寄せてくるものなのかもしれません。
四十九日を迎え、その後も後飾り段は片付けられることなく、初盆まで大切にお祀りされていました。
そして初盆のお飾りとともに、役目を終えた後飾り段をご返却くださいました。
久しぶりにお会いしたご主人は、以前より少し小さくなられたように感じました。
その数か月という時間は、ご主人にとって、奥様を想いながら過ごした時間だったのでしょう。
後飾り段には、たくさんの跡が残っていました。
湯のみの跡。
コーヒーカップの跡。
少し大きなお皿を置いていたような跡もあります。
奥様のお好きだったおかずをお供えされた日もあったのかもしれません。
そのことは分かりません。
でも、一つだけ確かなことがあります。
最初は「悲しくなるから置きたくない」とおっしゃっていたご主人が、その場所で毎日奥様を想い、手を合わせ、少しずつ悲しみと向き合ってこられたということです。
後飾り段に残っていたのは、ただのシミではありませんでした。
そこには、ご主人が奥様を想い続けた日々が、静かに刻まれていたように感じました。
今年も初盆の季節が近づいてきました。
橋本祭典では、宗旨・宗派によって初盆の準備が必要となるご家庭へ、順次ご案内をお送りし、準備を進めております。
地域やお寺様によって、お飾りやお供えの考え方が異なる場合もございます。
ご不明なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


